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レインウェアの選び方

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この記事は以下のサイトを一部参考にしています
ファイントラックHP
山と道HP:防水ウインドシェル=全天候型行動着の誕生 #1
ミレーHP
PEAKS,HP-【ロングインタビュー】レインウエアの概念を覆したミレーのティフォンが新バリエーションを追加し、次世代モデルへと進化。


皆さんこんにちは、YAMAORI管理人です。

今回は、レインウェアについての記事です。
登山装備において、三種の神器とも呼ばれることもあるレインウェア。

水を防ぐ防水、湿気を逃がす透湿
それらの仕組みと代表的な素材の特徴を網羅的にご紹介いたします。
それでは、ごゆっくり記事をお楽しみください。


目次

  1. レインウェアって?
    1. 防水性と透湿性について
    2. メンブレンの種類
      1. 疎水性多孔質ポリウレタン(パーテックス・シールドプロ)
      2. ポリカーボネート系疎水性多孔質ポリウレタン(エバーブレス)
      3. 親水性無孔質ポリウレタン(ティフォン、ティフォンファントム)
      4. ナノファイバー(ネオシェル、パーテックス・シールドエアー、フューチャーライト)
      5. ePTFE(ゴアテックスやイーベント)
  2. 自分のアクティビティスタイルに合った選択を
  3. ポンチョという選択肢
  4. 撥水性とは
  5. お手入れについて

レインウェアって?

雨天時の燕岳、燕山荘近くの登山道 熊本県烏帽子岳登山道(雨天時)

  • 雨天時に着用する、防水性透湿性に優れた衣類。
  • シェルと呼ばれる登山におけるレイヤリング(重ね着)の一番外側に着用するウェアの一種。
    • 防水性:水(雨)を衣類の内側に浸み込ませない為の機能
    • 透湿性:衣類内の水蒸気(汗)を外に排出するための機能

防水性と透湿性について

雨等の外からの濡れを防ぐ機能が防水性。内側の蒸れを防ぐのが透湿性。
登山やトレイルランニング等の運動量の多いアクティビティでは、外側からの濡れを防いで、加えて内側からの蒸れを逃がさなければなりません。
透湿性の高いウェアというのは、体から発せられる水蒸気(汗)を外に逃がすのが上手なウェアの事です。


登山では、登山靴、バックパックと一緒に三種の神器と呼ばれることもあるくらいの必須の装備品です。

良ければこちらの記事もお読みください。


防水透湿性の仕組み

多くの商品で採用されているのが、防水透湿性のメンブレン(フィルム)を用いた方法。
表生地の内側に防水透湿メンブレンを張り付けて雨の侵入を防ぎ、体から発生する水蒸気を外に逃がしている。

防水透湿メンブレンには多くの孔が空いており、この孔の大きさが、水滴よりも小さく、水蒸気よりも大きいので、外からの雨の侵入を防ぎ、内側の水蒸気を逃がす防水透湿を実現している。 防水透湿メンブレンと水、湿気の関係を表したイラスト(yamaoriがfigmaで作成)


耐水圧と透湿性

耐水圧

  • 生地がどれだけ水を弾き返すか、どれだけの水圧に耐える事が出来るかを表す数値
  • 試験法
    • 170mm*170mmの生地に徐々に水圧をかけ、水が3滴染み出すまでの水圧を測定。
    • 五枚の生地で試験を行い、その平均値を算出する。
    • 例:耐水圧10000mmとは生地の上に10mの水が乗った圧力に耐えるという事。
    • 数値が大きければ大きいほど防水性が高いと言える。
    • 一般的に登山に耐えうる耐水圧は20000mm程と言われる。

透湿性

  • 生地が水蒸気をどれだけ外に放出できるかを表す数値
  • 生地1平方メートルが24時間で何グラムの水蒸気を放出するかを測定。
  • 単位はg/m2/24h
  • 試験法
    • A1法
      • 規定の容器の中に生地と吸湿材(塩化カルシウム)を3mm離した状態で入れ、容器を密閉する。密閉した容器を40℃,90%RH(温度40℃相対湿度90%の非常に高温多湿)の状態で1時間放置する。1時間後に生地を透過して吸湿材が吸湿した水分量を調べる。
      • 人が運動している状況を想定した測定方法で、ウェアの透湿度測定によく用いられ、より実践的な透湿性能を評価できる
    • B1法
      • 30℃の恒温装置中に23℃の水が入った水槽を置き、生地裏面が水槽の水に浸るように取り付け固定する。吸湿材(酢酸カリウム飽和水溶液)の入ったカップを測定用補助フィルムで密閉し、補助フィルム面が生地に接触するように倒立させて設置する。15分放置し、吸湿材が吸湿した水分量を調べる。
      • A1法の様にある特定の状況での透湿度というよりも、素材の最大透湿量を測定する。
      • 親水性無孔質PUの試験においてはB1法を用いると、実際の実際の使用環境よりも良い数値が測定されやすいので、超軽量レインウェア等の購入を検討する場合はレビューを調べるなど慎重に検討するべき。

メンブレンの種類

主要メーカーの代表的な素材を、耐水圧・透湿度で比較しました。
素材ごとに防水性と透湿性のバランスが異なります。
用途や環境に応じて、防水性重視か透湿性重視かを判断しましょう。
性能表示の数値や構造を理解すれば、自分に合ったウェアを選びやすくなります。


疎水性多孔質ポリウレタン

  • 水を弾く、多くの孔(あな)が空いたポリウレタン素材
  • 伸縮性が良く着心地が柔らかい
  • 素材が加水分解により劣化しやすい
  • 例:パーテックス・シールドプロ、等
  • パーテックス・シールドプロ
    • 耐水圧は20000mm、透湿性は20000g/24hとされる。
  • おすすめパーテックス・シールドプロのレインウェア
  • トレイルバム:Walker shell jacket
    • 耐水圧:10000mm、透湿性10000g/24h(A-1法)、17000g/24h(B-1法)
    • 216g、広めの袖口、スムーズに開閉できるビスロンジッパー、快適な3レイヤー
  • トレイルバム:Walker shell pants - 150g、ポケット付きでゆとりのあるフィット感 - ウエストも裾もプルコードでワンプル調整可能

ポリカーボネート系疎水性多孔質ポリウレタン

  • 車のヘッドライトカバーなどに使用される強化ガラスの様に硬いポリカーボネート硬質プラスチック素材。
  • 硬い素材でありながら、引き延ばすことが出来るのでウェアに応用。
  • 非常に丈夫で加水分解に強い
  • 伸縮性と耐久性に優れる。
  • 例:ファイントラック・エバーブレスシリーズ
    • 耐水圧20000mm、透水性10000g/24h
    • 生地の裏地に撥水加工を施し、透湿を妨げる水膜ができにくい。
    • 乾いた状態と濡れた状態の透湿性にほとんど差がない。
    • ゴアテックスやイーベント等のフッ素系の硬く伸縮性のない生地よりも格段に着心地が柔らかく動きやすい。
  • エバーブレス
    • ストレッチ表生地+エバーブレスメンブレン+ニット生地の3層生地。
    • メンブレンのストレッチ性を活かしながら耐久性が良い。
  • エバーブレス3D
    • ストレッチ表生地+エバーブレスメンブレン+(3Dドット加工コーティング)の2.5層。
    • 3層に比べて軽量ながらも十分な強度も備える。
    • シュラフカバー等に使用される。
  • エバーブレスエアー
    • ニット生地+ミッドシェル専用エバーブレス+ニット生地の3層生地。
    • 透湿性、防風性、耐水性に優れるメンブレンを採用。
    • 長時間着用してもストレスを感じない伸縮性を持つ。
  • おすすめのエバーブレスのレインウェア
  • ファイントラック:エバーブレスフォトンジャケット
  • 読み込み中…
    • しなやかで着心地の良いレインウェア。
    • 裏地にも撥水加工していて機能が落ちにくい。

親水性無孔質ポリウレタン

  • 孔の空いていない、親水性(水を引き付ける)のポリウレタンの膜。
  • 孔が無い分、極限まで生地を引き延ばせるので薄く軽量なレインウェアを作れる。
  • 例:ミレー・ティフォン、ティフォンファントム、パーテックス・シールド
  • ティフォン
    • 耐水圧30000mm透湿性50000g/24h
    • 7マイクロメートルの超極薄親水性無孔質ポリウレタンメンブレンで圧倒的な透湿性を実現。
    • 表生地も50Dの40フィラメントナイロン糸に仮り撚り処理を施して、糸に弾力と優れた伸縮性与えている。
    • 裏地には丸編みの着心地の良いニット素材を使用。60ゲージという凄まじい目の細かさで着心地がかなり柔らかい。
  • おすすめのミレー・ティフォンのレインウェア
  • ミレー:ティフォン ストレッチ ジャケット
  • 読み込み中…
    • 高いプロテクションと快適な着心地を両立。
    • ヘルメットの上からも被れる大きなフード。
  • ミレー:ティフォン ストレッチ トレックパンツ
  • 読み込み中…
    • 裏地のニット素材の肌触りが良く着心地が良い。
    • ジップポケットが前後に3つと、取り外し可能なベルトがついている。
  • ティフォン・ファントム
    • 耐水圧50000mm透湿性60000g/24h
    • メンブレンはティフォンと同じく超極薄メンブレンを使用。
    • 表生地と裏生地を極限まで薄くし、軽量化。
    • ティフォン・ファントム・ファストが132g、ティフォン・ファントム・トレックが162gとすさまじく軽い。
  • おすすめのミレー・ティフォン・ファントムのレインウェア
  • ミレー:ティフォン ファントム ファスト ジャケット
  • 読み込み中…
    • 132g、驚愕の軽さでコンパクトに携行できる。
    • トレイルランニングの必携レインウェアにおすすめ。
  • ミレー:ティフォン ファントム トレック ジャケット
  • 読み込み中…
    • 162gの驚異的な軽さ圧倒的な防水透湿性能。
    • パッカブルで、胸ポケットにコンパクトに収納できる。

  • パーテックス・シールド
    • 耐水圧20000mm透湿性20000g/24h
    • 親水性無孔質PUメンブレンで、孔が無いので極限まで素材を薄く引き延ばせる為、軽量ウェアのラインナップによく採用されている。
    • メンブレンが一度湿気を保持し、気化させ放出する仕組み。
    • PUなのでストレッチ性に優れるが加水分解を起こしやすい。
  • おすすめのパーテックス・シールドのレインウェア
  • サロモン:ボナッティトレイル
  • 読み込み中…
    • 195g、パッカブルで、胸ポケットにコンパクトに収納可能。
    • 背中に大きなマチがありトレランザックを背負ったままでも着用可能。トレイルランニングにおすすめ。
  • ラブ:ファントムジャケット
  • 読み込み中…
    • 116g、超軽量レインジャケット。
    • フードにベンチレーションが付いていて蒸れを逃がし、荒天時には折りたためて、収納時はフードに折り込んでまとめられる。

ナノファイバー

  • 疎水性ポリウレタンの繊維を網目状に無数に編み込んだ通気性する防水透湿メンブレン。
  • 孔の考えに近いが、繊維構造で親水を防ぐという点が疎水性多孔質PUとは違う。
  • 一般的に湿気はウェアの内外の温度湿度に差がないと透湿効率が格段に落ちるが、ナノファイバーメンブレンは通気するので、気温差湿度差にかかわらず、蒸れにくい。
  • 多孔性の素材よりも圧倒的に通気するが、その分耐水圧がを損なっている。
  • 透湿性と柔軟性に優れるが、加水分解のリスク等、ePTFEに耐久性で劣る
  • 例:ポーラテック・ネオシェル、TNF・フューチャーライト、パーテックス・シールドエアー
  • ポーラテック・ネオシェル
    • 耐水圧は10000mmほど。
    • 公式な公表情報は無いが、ナノファイバーだとされている。
    • 透湿性が高く、驚くほど通気し、風が抜けると表現されるほどである。
  • パーテックス・シールドエアー
    • 耐水圧10000mm透湿性20000g/24h
    • 非常に軽量なナノファイバー生地
    • 従来のナノファイバーメンブレンは生地が厚くなりがちで軽量化が難しかったが、パーテックス・シールドエアーはナノファイバーメンブレンの厚みと密度の均一化に成功し、薄く軽量でストレッチ性の良い表生地との一体化を実現した。
  • おすすめパーテックス・シールドエアーのレインウェア
  • ゴールドウィン:パーテックス・シールドエアーマウンテニアリングジャケット
  • 読み込み中…
    • 柔らかくしなやかで、ウィンドシェルの様に着れるレインジャケット。
    • 腕を高く上げても裾が上がってこないムササビシルエットで、快適なマウンテニアリングを楽しめる。
  • TNF・フューチャーライト
    • 耐水圧10000mm
  • おすすめフューチャーライトのレインウェア
  • TNF:フューチャーライトドリズルジャケット
  • 読み込み中…
  • TNF:フューチャーライトドリズルパンツ
  • 読み込み中…
    • 表生地が50Dと厚みがあり丈夫ながらもしなやかな着心地。
    • 高い通気性

ePTFE

疎水性多孔質メンブレン

  • メンブレンに孔が空いており、雨水は弾き内側の湿気を逃がす。
  • フッ素樹脂の一種で、フライパンのテフロンなどが有名。
  • 非常に強靭で耐久性が高く加水分解に強い。
  • 伸縮性がほとんど無いので着心地が固い。
  • 例:ゴアテックス、e-Vent、等
  • ゴアテックス
    • 公表値ではないが、耐水圧:45000mm・透湿性13500gとの報告もある。
    • 耐水圧の公表は無いが、少なくとも20000mm以上。
    • メンブレンの表面にメンブレンを皮脂等の汚れから守るコーティングがされているが、その分透湿性が下がっている。
    • 近年、フッ素化合物が規制されており、ゴア社はePEという新たな素材のメンブレン開発を行っている。
  • ePE(延伸性ポリエチレン)
    • ePTFEに代わる防水透湿メンブレンとして開発されている。
    • 機能面では従来のePTFEと遜色無く、同基準の製品テストをすべてクリアしている。
    • 着心地が少ししなやかで柔らかくなっている。
    • ポリエチレンは加水分解しづらい。
  • おすすめゴアテックスレインウェア
  • TNF:クライムライトジャケット
  • TODO:TNF:クライムライトジャケット
    • 立体的に作られており、その中でもフードの動きが良く、頭部のあらゆる動きにフィットする。
  • TNF:クライムライトジップパンツ
  • TODO:TNF:クライムライトジップパンツ
    • 立っている状態で靴を履いたまま着衣できる。
  • フォックスファイヤー:クレストクライマージャケット
  • TODO:フォックスファイヤー:クレストクライマージャケット
  • フォックスファイヤー:クレストクライマーパンツ
  • TODO:フォックスファイヤー:クレストクライマーパンツ
    • 裏地がC-knit b Backer採用で着心地がしなやか。
  • プロモンテ:ゴアテックスパックライトレインスーツ
  • TODO:プロモンテ:ゴアテックスパックライトレインスーツ
    • 上下セット。
  • マムート:クライメイトレインスーツ
  • TODO:マムート:クライメイトレインスーツ
    • 上下セット。
  • e-VENT
    • ゴアと同じく耐水圧は公表されていないが、少なくとも20000mm以上。
    • ゴアテックスとは違い、メンブレンにコーティングがされておらず、汚れによるメンブレンの孔が汚れや摩擦に弱いが、透湿性が高い。

自分のアクティビティスタイルに合った選択を

  • 普通の山歩きなら、ゴアテックス製品を選ぶのが無難。
  • 動きやすさを重視するのであれば、エバーブレス等のストレッチ性の良い素材を選ぶと快適です。
  • トレイルランニング等、通気性を重視したい場合はナノファイバー系や、透湿性が良くて軽量なミレーのティフォン・ファントムもおすすめです。

ポンチョという選択肢

AI生成のポンチョのイマージイラスト 森林限界を超えない低山等では、ポンチョが便利な場合もある。
風がない樹林帯の中のハイキング等では意外と便利。

  • メリット
    • 素早く着用できる。
    • ザックの上からすぐに被れるのでザックが濡れない。
    • 下が空いているので蒸れない。
  • デメリット
    • 風に巻き上げられたり、枝葉や岩に引っかかるリスクもある。
    • ポンチョの裾が長いと足元が見えずらい。
  • おすすめのポンチョ
    • TODO:シートゥーサミット:ウルトラシルナノポンチョ
      • レインウェアでは透湿が追い付かないような蒸し暑いときに。
      • 屋外でのスポーツ観戦や、夏フェスなどにもおすすめ。

撥水性とは

  • 撥水加工
    • 生地の表面についた水を玉状に弾く加工。
    • 長時間雨にさらされたり、濡れた状態で膝をついたり座ったりして水滴の上から圧力がかかると生地の糸の隙間から水は浸み込む。
    • ドライヤを当てたり、当てぬのをしてアイロンをかけて生地に熱を与え、生地の繊維を立たせてあげると、限界はあるが撥水性を復活させることが出来る。(蓮の葉の原理)

レインウェアのお手入れについて

  • 基本的に洗濯してOK

洗濯による生地の痛みを気にされる方は多いとは思いますが、使用後に皮脂汚れ等が付着した状態で放置するダメージに比べれば微々たるものです。使用するたびに洗濯しましょう。基本的に、柔軟剤、漂白剤が入ってなければ普通の洗濯洗剤で大丈夫です。

  • レインウェアの性能低下の原因

ズバリ、撥水性の低下が原因です。生地表面の撥水加工が汚れ等で性能が低下している状態では、表生地が保水してしまい、透湿性が悪くなり、ウェア内部での結露の原因になります。しっかり洗濯して、汚れを取り除き、アイロンやドライヤーで熱を与えてあげることにより、表生地の撥水効果を復活させてあげることにより、長くレインウェアを使い続ける事が出来ます。

  • 専用洗剤の使用もおすすめ
  • おすすめの洗剤
    • TODO:ファイントラック:オールウォッシュ
      • 泥汚れも皮脂汚れも、ウェアの機能を損なうことなく汚れだけ落とす

投稿日:8/20/2025, 1:49:00 PM

更新日:9/7/2025, 11:16:26 AM

カテゴリー:その他登山用品