こんにちは、YAMAORI管理人です。
またまた去年、一昨年に引き続き、今年もゼンザンに行ってきました。
去年の話
実は去年の梅雨時期にも一人で敢行したのですが、羽金山から長野峠へ下ってきた時に下腹部に刺すような激痛を感じ、慌てて裾を捲ると、お腹が赤く爛れるように腫れていて、服がこすれるだけで、とんでもなく痛くて、右の二の腕も同じ様に腫れていて、一瞬進退を迷ったのですが、あえなく下山し、加布里駅までの12kmをどうにか衣擦れを抑えながら歩いたんです。
滴る汗の一滴一滴が触れるたびに針で刺されるような痛みを生み、強い日差しの下で汗を防げる筈も無く、気が気では無かったです。
翌日、皮膚科に行くと、毛虫だと判明。時期が悪かったですね。軟膏を塗ると二三日で腫れは引きました。
そんな前年の負の印象を払拭すべく、今年も懲りずにやりました、ゼンザン。時期も天気もバッチリで、頼もしい相棒KSも一緒、まあ余裕でしょう。
19時、福吉駅
18時頃に博多駅でKSと落ち合って、電車で福吉駅へ向かいました。
彼は仕事後に直で来たので、1時間ほど眠りたかった様ですが、ところがどっこい、帰宅中の学生でしょうか、同じ車両に乗り合わせた学生数人がつり革に掴まってぶら下がるわ、つり革を吊り下げている鉄棒に足をかけてコウモリの様に逆さまにぶら下がるわの、どんちゃん騒ぎ、KSは全く仮眠を取れずに不機嫌な様子。山に入ると20時間前後の行動になるので、先が思いやられました。
服装が明らかに周りとは異色な二人組は福吉駅で下車し、明かりも無い暗い田んぼ道を走り始めました。
十坊山
登りはある程度の傾斜は歩こうと割り切って、完全な停滞を防ぐ作戦で進みます。
最初の山なので体力気力共に十分に有り、快調に走りますが、お互いに先の長い道のりに少し心配な気持ちを持っているのか、登りを、通して走る事はせずに息が切れない様に歩きを交えながら進みました。
程なくして山頂へ到着。まだまだ元気です。殆ど休まずに通過します。
浮嶽、女岳
十坊山の下りはいつも、泥濘に足を取られる程に湿っているので、慎重に下ります。二人とも転びはしませんでしたが、何度もスリップしました。
白木峠まで下り切ると浮嶽への登り返しです。
ここが強烈。殆ど歩いて通過。
山頂まで登りきった所で、小休止、ジェルでエネルギー補給。
浮嶽を下り、少し登ると直ぐに女岳山頂。
ここはピークという雰囲気は無く、道上に標識が立っている感じなので、休まずに通過。
羽金山へ
ここが一番きついんじゃないか、と思うほどの長い長い登り勾配。
暗い山道の均整の取れた杉の植林は方向感覚を狂わせる。
不気味な絵の様な杉と夜闇の縞模様は立体感を持って霧の中に浮かび、我々は五感をじりじりと削られている感覚に囚われながらも、無心に登り下りを繰り返す。この場所を少しでも早く通過したいと内心思っていたんでしょうね、気が付けば下りと緩い登りはしっかり走って、少し息が切れていました。
羽金山
山頂は電波塔の施設内。施設は勿論この時間では入れないので、ゲートの前を我々の山頂として通過、長野峠を目指します。
去年毛虫に襲われた区間ですが、この時期はまだ大丈夫でしょう。草木の背丈も夏ほどに高くは無く、下り基調のトレイルを快調に快走し、長野峠に着きました。道中、開けた場所で見上げた月は大きく美しく優しい光で我々を照らし、心地良い疲労感も相まって、夜半にこの場所にいる特別感を演出します。
ここまでで、背振全山の前半部分が終了しました。まだまだお互いに体力気力共に余裕があり、ほんの少し休憩を挟んで、雷山へ登り返します。
まだまだ夜は深く、ヘッドライトの明かりを頼りに上へ上へと無心に登ります。
少しだけ眠気が出てきて、心拍も上がらず、瞼が思ったるくて少し気怠い。
先行するKSの後に続きますが、KSの背中を追っているのかヘッドライトの灯りを追っているのか分からない、人間にも正の光行性があるのだろう、元来夜闇を嫌って火を使い出した生き物であるから当然だと思います。
彼の1000ルーメンの明かりが眼前に灯っている内はどれだけ眠かろうとも足は前に上に上がり続ける。
雷山〜井原山
糸島側とは打って変わって、とても走りやすいなだらかなトレイルで快走し、あっという間に井原山へ到着。
ここに来てお互い眠気がピークに達し、山のなかで寝るより三瀬峠まで下って道脇で少し横になろうと三瀬峠まで少し速めのペースで駆け下りました。
道中少しロストして、危なかった。
やっぱり、少しだけ集中力が切れていたのだと思います。
20分仮眠して再開。

金山
車通りが多く、風も冷たかったので、入眠する事は出来ませんでしたが、少し横になってだいぶ回復したので、金山の登りは案外すいすいと登れました。
ここで日の出、眼球を朝日がじりじりと照らし、気持ちも身体も覚醒を感じました。
脊振へ
コカ・コーラの自販機を目指して、血眼で突き進みます。金山、脊振間の縦走路はとても明るくて広い気持ちの良いトレイルで、快調に飛ばす事が出来て、あっという間に脊振到着。しかし、ここで事件発生。
コーラが無ぁいぃぃぃぃぃ!!
,,,,,,。
自販機のボタンに無情にも売切れの赤文字が灯っていました。
我々はカロリーが欲しいんだ。ゼロコーラはお呼びじゃないんだ。とか、言いながらもがぶ飲みゼロコーラ。
九千部山まで
蛤岳までの登山道は崩落著しく、歩きづらい箇所が多くて、更に足首の高さくらいまで雪が残っている場所もあったりして、妙に疲れました。
蛤岳山頂に着く頃は太陽が南天に輝き地上を暖かく照らして心地良く、少し腰を下ろして長めに休憩を取りました。
その後、蛤水道を経て七曲へ下りましたが、ここでKSの眠気がピークに達し、少し横になって目を瞑って休む事にしました。
無理もありません。ここまで彼は前日の仕事も合わせて30時間近く行動していたのですから。
我々意外の人気の無い静かな道路に横たわる彼の姿を見て、彼の中に静かに滾る情熱を感じました。
九千部山
もうここまでくれば後は惰性で進めます。
勝った。
誰と競っているわけでも無いのですが、何故かそう思った事を覚えています。
基山
最後の山を目指してひたすらに舗装された道を歩きます。もうこの頃にはロードの登り傾斜を走れる様な余力は無く、歩いてでも日がある内に基山には着けるだろうと見込んで、歩き通しました。
結末
西日が差す穏やかな空気の中、我々の長いようで短い旅路が終了しました。
お互いに讃え合って、また来年もしようと固く約束し、原田駅まで下山しました。
駅の直ぐ近くの小綺麗な居酒屋にて晩餐。我々の格好はとても綺麗とは言えないので、いたたまれなく、一杯のビールと二品ほどの料理を頂いて退散。
この世の中で一番美味い酒と飯でした。
博多駅にてKSと別れ帰宅。眠気と闘う孤独な帰路は達成感と疲労で満たされ幸せなひと時でした。
距離:75km
獲得標高:5328m
充実の山行でした。